スタッフだより|マンション大規模修繕コンサルタント 【株式会社MDS(エムディエス)】

スタッフだより

自宅マンション2年メンテナンス

原です。
私もマンション住まいですが、2年ほど前に大規模修繕工事を実施しました。
自宅ですので、私も一般住民として工事を経験しました。
でも昼間は仕事に出ており、工事中は家にいることは出来ませんから、実際どのような工事が行われていたかは、ほとんどわかりませんでした。
こう考えてみても、工事監理をしっかりとした目で見てもらうことは重要なことだとつくづく思います。


さて、そんな中先日大規模修繕工事の2年メンテナンスが実施されました。
2年目となりますと、住民の皆さんもあまり関心がなくなっているようですが、私は職業柄、あれやこれや目についてしまうので、共用廊下排水溝ウレタン防水のちょっとした凹凸を補修してもらいました。
ウレタン防水も防水材としてよく使われていますが、水の力は侮れません。水が滞留すると小さな隙間から雨水が浸入しますので、皆さんも建物の細かいところを気にかけてみてください。

マンション維持修繕技術者

企画プロデュース担当渡辺です。
去る1月29日、マンション維持修繕技術者の試験を受けて来ました。
マンション維持修繕技術者資格は、大規模修繕に関わる者にとっては一級建築士免許、マンション管理士資格に次ぐ重要な資格です。合格点のボーダーは毎年違いますが、概ね80~90点です。

この資格の勉強方法は、マンション維持修繕技術ハンドブックと称するハンドブックをひたすら読破し、表や図解まで全て頭に叩き込むことなのです。
しかしながら、このハンドブック。価格は1万800円と高額で、ハンドブックと称しながら、900ページ近くある辞典並みに分厚い文献です

八重洲ブックセンターにも置いておらず、注文して初めて手にしたのですが、最初は何かの間違いかと思いました。
ハンドブックですよ。ハンドブック・・・
イメージとしては、通勤時にサッと開いて読み込むつもりでいたのですが、とてもそうはいきません。持つだけで、よっこらしょみたいな感覚で・・・

悩んだ末、泣く泣くその1万800円の本を4つに分割します。
カテゴリーに分けて裂いたので、100ページ程度のパーツもあれば、300ページを超えるパーツもありましたが、何とか持ち歩いて、一ヶ月を少し越える時間で読み切りました。

読み終えた時点で、試験まであと10日に迫っています。
この時点から過去問題の反復を開始します。といっても過去問題に解説が無い為、解らない問題、間違った問題は、そのハンドブックを頼りに自分で調べなければなりません。
仕事を終えて帰宅し、これに取り掛かることはかなりの苦痛で泣きそうでした。何度投げ出したいと思ったことか・・・
しかも、土曜日曜と理事会様との打合せや、説明会が入っているので丸一日を通しての勉強は出来ません。優先事項は勉強ではなく、あくまで仕事ですから本分を全うするしかありませんが、この時期が正に地獄でした。

唯一の救いは、普通の方には暗号にしか見えないだろう“ピンニング”だとか“アノード”などの技術的な用語や施工方法は、現場に出ているので理解できることが幸いでした。

現在、正式解答は発表されていませんが、巷に溢れる解答速報で答え合わせしてみると今のところ88~90点です。
合格発表は2月24日です。

外部仕上げって何のため

外部仕上げって何のため

MDSの牛嶋です。
コンクリートひび割れ補修
大規模修繕では、コンクリート、モルタル等の下地のひび割れや浮きの補修を行なった上で、外壁の塗装の塗り替えやタイルの張り替えを行います。
鉄筋コンクリート造の建物では、一般的にコンクリートの外壁を塗装材やタイル等によって仕上げを行います。これは、建物のデザインや見栄え上にも重要なことですが、実は基本的に重要な意味があるのです。
改めて考えれば当然のことですが、塗装材やタイル等の仕上げ材は躯体コンクリートの劣化を保護しているという重要な役目があるのです。
コンクリート躯体は、ひび割れ等から水や大気中の炭酸ガスの影響を受けてコンクリートが中性化したり、中の鉄筋が錆びたりして、劣化していくのです。
従って、仕上げ材の劣化により建物外観の見栄えが悪くなっていくということと併せて、躯体コンクリートに対する保護力が落ちているということになるのです。


タイルひび割れ確認
大規模修繕の目的の大きな要素は、このコンクリート躯体を健全に維持することです。
そうすれば、建物の寿命は概ね60年以上の長寿命化が計れ、仕上げと併せて住環境の改善が出来ることになります。
そういう意味で仕上げ材を捉えれば、修繕に使用する材質や既存仕上材との適正等が重要になってきます。
私達MDSは、既存材料の確認と、修繕材料との相性等を判断して、管理組合の皆さんに解り易くご説明した上で改修計画を行うように心がけています。

見た目が変わる? 変わらない?

マンションの大規模修繕工事は基本的に、経年により劣化した箇所を修繕する工事です。人間で言えば健康診断を受けて、問題のあるところを治療するようなものです。つまり健康な状態に戻るのですが、人間そのものが若返るわけではなく、同じように大規模修繕工事を行なっても、マンションのすべてが新築当時のピカピカの状態に戻るわけではありません。

塗装けれど、新築当時の状態に戻らないという場合には、いろいろは要素があります。「戻せるけど戻さない」、「戻したくても戻せない」、「戻さない方が良い」等々です。具体例をあげてみましょう。

たとえばマンションの外壁が塗装仕上げの場合、新築時のオリジナル色で塗装し直すこともありますし、あえてオリジナル色ではなく、新しい塗装色を提案することがあります。もちろん居住者の皆様による合意形成が必要です。理事会や修繕委員会の独断ですすめてしまうと、「もともとの色でよかったのに!」と言われかねません。そうならないためには、事前に複数案の「完成予想パース」を掲示して人気投票を行ない、候補案が決まったら色見本サンプルを掲示したり、実際に外壁の一部を試験施工して、居住者様に最終確認してもらう等の段取りが必要です。そのようなプロセスを行なうことは、一般の居住者様にも、大規模修繕工事に参加しているという意識がひろがる利点もあります。

屋上次に、戻したくても戻せない場合を紹介します。たとえばルーフ・バルコニーの防水工事です。居住者様が立ち入らない屋上などは、アスファルト・シートによる露出防水が一般的ですが、日常的に利用するルーフ・バルコニーは、防水層の上にコンクリートの保護層をかぶせています。普通にコンクリートの床のように見えるその下に、防水層があるわけです。つまりこの防水層に劣化があるかどうかを確認するには、保護コンクリートを撤去する必要があるのですが、大きな騒音や大量の粉じんが発生するなど、とてもそんなことはできません。そこで大規模修繕工事では、保護コンクリートの上にウレタン塗布防水を行なうのが一般的です。ウレタン塗膜と保護コンクリートでは、見た目が変わります。またウレタンは熱に弱いので、煙草の吸い殻を落とせば溶けてしまいます。バーベキューの炭火や、花火なども要注意です。このような見た目の違いや機能性についても、工事前に充分な説明が不可欠です。もともとと同じ状態には、戻したくても戻せないからです。

最後に、戻さない方が良い例を紹介します。たとえば外壁などに、御影石調に見える特殊な厚塗り塗装が施されている場合です。厚さ1センチ以上、重さも100kg/㎡近いものがあります。大規模修繕工事に際して、まったく同じ仕様で塗装すると、塗膜層はさらに厚く、重くなり、それだけ建築の構造体に負担がかかります。メーカーや商品にもよりますが、重ね塗りは2回(新築時と第1回大規模修繕工事)が限度で、3回目(第2回大規模修繕工事)を行なうためには、事前に1~2回目の塗膜を剥がさないといけません。当然コストもかかり、おすすめできません。3回目は確実に来るのですから、2回目に際して、より薄塗りの何回も重ね塗り可能な塗料を選ぶのが賢明です。しかし厚塗りタイプと薄塗りタイプでは、見た目が変わります。一般に厚塗りタイプの方が重厚で高級感がありますので、この点に関しても、どのような理由で新築時の仕様に「戻さない方が良い」のかを、居住者の皆様に説明することが大切です。居住者様のご意見はさまざまなので、着工直前ではなく、ある程度は話し合いができる期間を設定するべきでしょう。

マンションの居住者様の多くは、大規模修繕工事によってすべて新築当時の状態に戻るはずと予想されていると思います。しかし実際には上記のように、「戻せるけど戻さない」、「戻したくても戻せない」、「戻さない方が良い」要素がいろいろと発生します。「もともとの方がよかった!」という声があがるのも、そのような要素に集中します。しかしマンションの仕様はさまざまなので、どんな要素が発生するのかは、物件ごとに異なります。事前調査でそのような要素を検証し、適格な提案を行なうのも、大規模修繕コンサルの重要な役割です。もちろんその役割を果たすためには、充分な経験とともに、つねに細部まで注意を払う情熱が不可欠であると思います。


出だしが肝心

マンション大規模修繕工事が実際に着工しますと、居住者の皆様にとって、いろいろと予想しなかった事態が起こります。

足場
最初にマンションの周囲に足場を架設するのですが、その際に、建物の外壁にアンカーを打つ大きな音が発生します。すぐ内側のお部屋はもちろん、コンクリートの構造体を振動が伝わりますので、離れたお部屋でもすぐ近くで作業しているように聞こえます。アンカーは何本も打ち込むので、足場が完成するまで何日もこの騒音が続きます。電話もままならず、受験生などはたまりません。「もう少し何とかならないのか?」という苦情が、現場監督や理事長宛に届くこともよくあります。
さらに工事が進むと、躯体を補修する音、浮いているタイルを剥がす音などが、アンカー打ち込み以上に大きい音が、しかも長期間発生します。もちろんホコリも発生するので、窓は開けられません。「着工前の説明会で話には聞いていたけれど、ここまで大変だとは予想しなかった」ということになりがちです。

けれど工事している施工会社にとっては、いつもやっている当たり前の工事です。もちろん迷惑をかけようと思っているわけではありません。居住者の皆様のために少しでも良い工事を行なおうと頑張っているのです。

あるマンションの大規模修繕工事で、施工会社が当初は想定していなかった資材の仮置き場の設置や、屋上へ資材を荷揚げするためのエレベーター使用を理事会に要望しました。当初はマンション前の道路にトラックを停車させ、足場に設置したウインチを使って荷揚げする予定でしたが、前面道路の交通量が多く、着工してからの追加要望となりました。しかし理事会はなかなか認めてくれません。居住者全員を対象とした着工前説明会では、要望がなかったからでした。当然認めてもらえるだろうと考えていた施工会社は、居住者の皆様のために工事しているのに、どうして認めてもらえないのだろうと不満に感じたかもしれません。

着工前説明会でひと通り説明を行なったとしても、実際に着工すると多少の追加・変更事項が生じます。また居住者の皆様にしても、説明を聞くのと実際に体験するのは大違いです。着工前説明会では施工会社ができるだけ具体的に説明を行ない、居住者の皆様との質疑応答も含めて、お互いの理解度・信頼度を高めることが重要です。逆に着工してすぐに問題が発生し、理解不足による不信感が芽生えてしまうと、お互いにストレスがたまり、工事そのものも満足できないものとなる危険性があります。

理事会そのような事態に陥らないように、理事会と施工会社双方の立場を充分に理解して、信頼感を育成するのも監理者の役割です。そのためには工事の仕様や数量を監理するだけでなく、足場などの架設工事や、養生や資材置き場、搬入方法、安全確保の方法、バルコニーの片付けのルールなど、施工会社を決定する前の段階で理事会と充分に打ち合わせる必要があります。それらの条件を明示すれば、施工会社も安心して見積書を作成することができます。不確定要素が少ないほど、いざという時の予備費を確保する心配がなくなり、結果として見積金額を安く提示することができるからです。

そのために監理者は、そのマンションではどのような問題が起こりそうなのかを、事前に察知する必要があります。けれどマンションにはひとつひとつの個性があり、同じものは二つとありません。そのマンションを隅々までよく調査し、起こりうる課題を整理するためには、監理者としての充分な経験と熱意が必要です。よい監理者とは、そのような経験と熱意がある監理者であると思います。




ページトップへ