マンションの調査・診断
目視調査を中心に、手の届く範囲は打検ハンマーによる打診を行い、ひび割れ・浮き・欠損・鉄筋露出などの劣化状況を調査します。
各種機械試験(コンクリート中性化試験、タイル・塗膜付着力試験、シーリング材物性試験)を実施し、修繕工事の基礎データとします。
全景
経年による劣化が各所に見られます。
ひび割れ
外壁面の各所にひび割れが発生し、雨水の浸入が心配されます。
鉄筋爆裂
コンクリート中の鉄筋が腐食し、コンクリートを押し出しています。
タイル面のひび割れ
コンクリートのひび割れによりタイル面までひび割れが発生しています。
タイル面の浮き
タイル面の浮きが発生し、部分的にタイルのハガレが見られます。
鉄部の錆び
塗料の劣化が進み、各所に錆や腐食の発生が見られます。
金物の劣化
堅樋指示金物も錆が進み、錆汁が美観を損ねています。
屋上床面
アスファルト防水の劣化が進み、部分的に破れも発生しています。
塗膜の付着力試験
塗り替えに必要な旧塗膜の付着力を数カ所調べ、旧塗膜を除去する必要があるか、その上に直接塗装できるかを判断します。
通常塗替えに必要な付着力は吹付タイル0.7N/mm2、リシン・スタッコ0.5N/mm2以上とされています。
塗膜の付着力試験
外壁塗替えに必要な付着力強度は0.5N/mm2以上です。
タイルの付着力試験
タイル貼替えやピンニング工法が必要となるかどうか調査するために付着力試験を行います。
通常タイルが充分に接着していると判断できる目安は0.4N/mm2以上とされています。
塗膜の付着力試験
タイル貼替えに必要な付着力強度は0.4N/mm2以上です。
中性化深度測定
コンクリート表層から空気中の炭酸ガスによりコンクリートの中性化が進みます。
中性化の深度を測定し、鉄筋コンクリート構造物の耐久性を判断します。
コンクリートの中性化試験
コンクリートをコア抜きし、コンクリートの中性化深度を測定します。
赤外線カメラによる外壁タイル浮き調査
目的:
本調査では赤外線映像装置により外壁タイルの浮きを調査し、建物の劣化状況を判断し修繕工事に関する資料とする。
調査項目:赤外線カメラによる外壁タイル浮き調査
日本アビオニクス(株)社の赤外線サーモーグラフィ装置TVS500を用いて、外壁のタイル浮きを確認する。
原理としては、タイル面に受けた太陽熱を支障のない健全部モデルでは、コンクリート内部に伝達する為、表面温度と受けた太陽熱が同じ温度として表れる。
これに対し、浮き部モデルでは、浮き空隙(浮き代)部分の空気が断熱層となり空隙内部の温度が上昇する為、浮き部のモルタル及びタイルの表面温度が受けた太陽熱より高くなる。
この高くなった分(温度差)が剥離診断の際の温度異常(0.3度以上)として256色の画面に表示しデータを記録する。
測定時の条件:
1) 雨天(前日含む)による壁面の濡潤状態は測定不能
2) 日照不足(曇天等)の場合は測定不能
測定不能部位について
1) 測定位置よりデータを取り込む時に障害物による陰部分
2) 建物吹抜け部分の壁面
3) 建物最上階を測定する場合の抑角は、45度以内
4) 平面的角度は、壁面垂平線に対して30度以内